Tさん 男性
私は二十年前に折伏を受け、入信はしたのですが、一度勤行をしただけで、すぐに退転してしまいました。
その後、先輩が何度も電話をくれたり、会いにも来てくれたのですが、全く聞く耳を持とうとはしませんでした。
しかし、振り返ってみると、退転していた二十年間は、本当に罰だらけの生活でした。
私は、ひどい酒乱で、酔っ払って屋根から転落し、腰の骨を折るほどの大怪我をしたこともありました。いつも酒を飲んでは喧嘩(けんか)をし、相手が血まみれになるほど殴ってしまったり、妻に対しても、結婚当初から暴力を振るっていました。
仕事をしても長続きせず、一年もしないうちに転々と職を変えておりました。
当然、仕事や、友人・家族との人間関係は、どうにもならない程に悪くなり、とうとう、ヤクザに付きまとわれるようになってしまったのです。
このままでは、精神的に異常をきたしてしまう―、その恐怖感が、私に信心する決意を促したのです。
そして私は、二十年もの間、諦(あきら)めることなく諭(さと)し続けてくれたK幹事に、 「話を聞こうともせずに申し訳ありませんでした。信心をさせてください」 と手紙を出したのでした。
こうして昨年三月、彼岸会(ひがんえ)法要に参詣させていただき、初めて御本尊様の御前で勤行させていただくと、不思議な嬉しさを覚(おぼ)え、涙が出てきました。
その日、一緒に連れてきた娘も御授戒を受け、さらに一ヵ月後には息子も御授戒を受けることができました。
ところが妻だけは、「御授戒は絶対に受けない」と頑(かたくな)に拒(こば)んできました。何度も何度も折伏するのですが、そのたびに、今まで積もりに積もってきた私への不満が、一気に爆発してくるのでした。
私は退転した罰で、妻に、本当に辛く苦しい思いをさせてしまったことを知りました。しかし、こうして折伏をして悪口を言われることで、自分自身の罪障消滅(ざいしょうしょうめつ)がなされるなら、その結果、妻も信心につけるはずである、と伺い、本当に有り難いと思いました。
そのような中、「信心するようになって、パパがすごく変わった」と、妻も子供も言ってくるようになり、反対していた妻も、ついに御授戒を受けることができたのです。
さらに勤行を始めて三ヶ月ほどした頃からでしょうか。以前は毎日浴びるように飲んでいた酒が、次第に飲めなくなっていきました。
そして、毎年の健康診断で、肝臓に健康な人の三倍もの数値が出て、医者からも、このままでは肝硬変になる、と言われていたのが、今年の健康診断では、ほぼ正常値まで回復していました。
何より、あれだけひどかった酒乱が、嘘のように治ってしまったのは、我ながら驚きでした。
私は大聖人の仏法に巡り合えたことの有り難さ、御本尊様の素晴らしさを、つくづく実感しました。
夫婦仲も良くなり、子供達も、以前より遥(はる)かにのびのびと接してくれるようになりました。
さらに、仕事上にも大きな功徳をいただきました。
というのも、私は塗装の請負業を営んでいるのですが、ある現場で、悪天候のために作業が進まず、契約した期日までに終わりそうにない、という事態が起こってしまったのです。
天候のことは、自分では、どうすることもできません。もう、御本尊様におすがりするしかない、と真剣に祈っていきました。
すると、期日の三日前の深夜から、突然、大雪が降り出したのです。その結果、翌日、元請の方から悪天候による工期の延長を申し出てきたのでした。
あのまま作業が進まず、納期が遅れて、それが、こちらの落ち度と判断されたなら、多額の違約金を支払わなくてはならないところでした。
さらに、仕事の内容についても、非常に高い評価をいただくことができました。
その後、元請のトラブルに巻き込まれ、仕事が貰えなくなってしまうという事態が起こりました。従業員にも給料が払えません。
私は、とにかく従業員の人達に次の職場をきちんと見つけてあげなくてはならない、と思い、新規の仕事を開拓することも含めて、全てを御本尊様にご祈念していきました。
そして、従業員には今までと同等の条件で職場を決めることができたのですが、新しい仕事の方はなかなか見つかりません。四月は二十日間も仕事がありませんでした。 そのような中、次第に焦りが強くなり、方法論ばかり考えてしまっていた私を心配して、H部長が、
「とにかく、理屈抜きで真剣に御本尊様におすがりする事ですよ」
と指導してくださったのです。
そのとおり真剣に御祈念するようになって、なんと、その二日後のことです。取引先の社長を始め、海外から来ているデザイナーも注目している、大きな仕事を請け負うことができたのです。
本当に、御本尊様への祈りは、必ず叶えていただけるのだと思いました。
その頃のことです。私には、信仰上、大きな悩みが起きていました。
そこで、四月度の本部講習会の折、思い切って大草講頭に質問しました。
「勤行の時に、あろう事か、御本尊様の悪口が頭に浮かんできてしまうのです。いけないと思っても出てきてしまい、本当に辛いのですが、どうしたら良いのでしょうか」
と。 大草講頭からは、
「それは、あなたの命が、他の人より一重深く謗法に染まってしまっているからです。苦しいでしょうけれど、その時は御本尊様に心からお詫びし、一回でも多くお題目を唱えることです。そして、亡くなった先祖も苦しんでいるでしょうから、週に一回、御塔婆供養をしてください」
との御指導でした。
その日から、退転して大謗法を犯してしまったことを、心の底からお詫び申し上げるとともに、必ず週に一度、自宅近くの正宗寺院で御塔婆供養をしていただき、さらに、登山や御講の際にも御塔婆供養をお願いしていきました。
すると最近になって、ほとんど悪口が浮かんでこないことに気がついたのです。
以前は、自分の意思ではどうにもならなかったのですが、今では、すっかり、その苦しさから解放されています。
示された指導をそのまま実践するならば、本当に大聖人様の御意に適った信心ができ、御本尊様の功徳が流れ通ってくるのだと確信いたしました。
二十年近くも退転という大謗法を犯し続け、頭破七分していた私にまで、このような大功徳をいただき、本当に申し訳なく、また、有り難くてなりません。
この御恩を報じて、御法主日顕上人猊下様の御心を安んじ奉るためにも、いただいた功徳の数々をけっして忘れることなく、一生涯信心を貫(つらぬ)いて、まだ大聖人の仏法に帰依(きえ)できずにいる人達を、精いっぱい折伏してまいります。
また、講中には、私のように、入信はしたものの、勤行すらできず、罰を受けて苦しんでいる人がいます。
その人達に対し、かつて先輩達が私にしてくれたように、私もしていきたいと思うのです。一人でも多く総会に参加させてあげられるよう、先輩・同志と共に頑張ってまいります。