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誹謗ビラを配布した学会幹部に損害賠償命令 2008年3月

妙観講の電話盗聴疑惑!?などという主張には何らの真実性もないことが確定

はじめに  

名誉毀損による損害賠償を求めた訴訟では、「真実性」と「相当性」が大きなポイントとなる。すなわち、問題となる記事や発言の内容が真実であるか(真実性)、もしくは真実でなかったとしても、それを真実であると信じ込んでしまっても仕方のない状況があったか(相当性)、という点である。
そして、もし記事の内容が真実でなくとも、それを真実と思い込んで書いてしまったことは止むを得ない状況であった(相当性がある)、と認められれば、損害賠償の責から免れる事例が出てくるのである。

1. 妙観講では、平成 8 年から 12 年にかけて、怪文書や学会機関紙(及び学会の系列メディア)によって、身に覚えのない電話盗聴疑惑を喧伝された。 そして、これに関連して起きた訴訟が、今日までに合計 4 件ある。
まず、通称「U事件」「H事件」。これは「創価学会主任」を自称するUと、元学会職員Hが、“妙観講を除名された元幹部のS・W(以下Wという)が雇った調査会社に電話を盗聴された。Wに盗聴を指示したのは妙観講・大草講頭と理境坊・小川住職で、その決裁を与えていたのは日顕上人である”として、それぞれ損害賠償を求める訴えを起こしてきたもの。
次に、通称「W事件」。これは、逆に妙観講および大草講頭が起こしたもので、“Wの虚偽の証言を利用した創価学会等により、前記のような謀略訴訟を起こされた上、学会メディアによって、盗聴犯の汚名を着せられ名誉を毀損された”として、損害賠償を求めて訴えたもの。
最後に、通称「誹謗ビラ事件」。これも、妙観講および大草講頭が起こしたもので、“妙観講は電話盗聴を行なうカルト教団である、とのビラを平成 13 年 9 月、学会幹部らにバラまかれて名誉を毀損された”として、損害賠償を求めて訴えたものである。

2. まず、電話盗聴の被害者と称するUとHが起こしてきた 2 件の訴訟(「U事件」「H事件」)では、それぞれ一審・二審・三審を通して、“日蓮正宗および理境坊・妙観講が盗聴に関与したとの主張には根拠がない。唯一の証拠となる元妙観講幹部Wの供述乃至証言は、妙観講・大草講頭に対する強い敵愾心によるものであるばかりか、裁判の過程で主要な部分に大きな変遷をきたしており、全く信ずることができない”として、UとHの訴えを斥けている。この 2 件の判決は最高裁判決を経て確定しており、むろん、今に至るまで再審(※後年、新たな証拠等が発見されて、審理がやり直しになること)も行なわれていない。

3. また、「誹謗ビラ事件」の判決でも、Wの供述乃至証言には変遷があることを改めて認定し(一審)、前記「U事件」「H事件」の判決が確定していることも念を押した上で(二審)、妙観講・大草講頭が盗聴に関与していたなどという証拠はないとして、ビラを作成・配布した学会大幹部らに、名誉毀損による損害賠償金 280 万円の支払いを命じたのである。

4. 以上の事実は、妙観講(ひいては日蓮正宗)が電話盗聴に関与した等という主張には、何らの真実性もないことが司法の場で確定している、ということに他ならない。

5. しかるに、妙観講・大草講頭が提起した、もう一方の訴訟「W事件」では、学会機関紙(及び系列メディア)による盗聴報道記事に名誉毀損が認められなかった。  前記の誹謗ビラと、学会の機関紙とで、同じことを書きながら、一方については名誉毀損が認められ、一方については認められない。このねじれ判決ともいうべき矛盾を、いったい、どう考えたらよいのか !? (妙観講・学会で、それぞれに都合のよい方の判決を引いて自らの主張をしているだけでは、一般の講員・会員は訳がわからなくなってしまうであろう。)

6. 結局、この二つの判決の明暗を分けた違いは何であったかを比べてみると、「誹謗ビラ事件」でビラを作成したとされる学会幹部らは、自分で集めた資料に基づき勝手に記事を書いたが、「W事件」で学会機関紙等に記事を書いた者達(聖教新聞・H、報恩社・K)は、「元・妙観講々員のWに取材をして、これは真実だと思って書いた」と主張している。 この違いが判決の明暗を分けたことは明らかである。要するに裁判所は、取材した者達が元幹部のWによる“いかにも本当っぽい話”を信じたのは、当時として仕方がなかった、としたのである(W事件の一審判決は、さんざん「W証言は信じられる」「これでは盗聴に関与したと疑われても仕方がない」等と述べて、あたかもWの証言を真実性の根拠として全面採用するかのごとき不当な認定を重ねていって、しかし最後になって、いきなり「結局あらゆる証拠を精査しても、妙観講・大草講頭が盗聴に関わったか、どうかは、わからないと言うべきである」などとして真実性を認めなかった。つまり、このわかりずらい判決は、真実性ではなく、相当性で学会メディアを免責としたのである)。

またW本人については、「日蓮正宗・妙観講の指示で盗聴をした」とのW発言は、法廷外ではHとKら数人にしただけで(もとより法廷供述等は免責される)、不特定多数の人々に向かって喧伝したわけではないから、この程度の範囲では名誉毀損は成立しない、との理由で免責してしまった(結局、W一人を負けさせて、学会メディア等を勝たせる、という決着の付け方は、あまりにもWと学会側の癒着がハッキリしているために、無理がありすぎてできなかったのであろう)。

7. W事件の判決内容については、極めて無理な認定や納得のいかない点が多く、“政治的判断に基づく不当判決”との印象は免れない。 だが、我が国の裁判所が、どのようなロジックによって、この相矛盾するとしか見えない判決に整合性を見出し、結果的に創価学会本体を損害賠償の責から救ったかは明らかといえよう。  それは整理してみれば次のようなものだ。

8,学会メディアはU事件・H事件の裁判が起きる以前の段階で、妙観講の元幹部Wに取材をしており、元幹部の告白にはいかにも真実味があるように感じられたので、「妙観講が盗聴に関与」との記事を書いた。これには真実性がなくとも、相当性があるので名誉毀損の責は免れる。

9, では、日蓮正宗・妙観講は盗聴に関与したのか、というと、そのような証拠はWの供述と証言以外になく、そのWの供述・証言はU事件・H事件の裁判の過程で変遷をくり返して破綻してしまっており、全く信ずるに足らない。要するに、妙観講の盗聴関与などという主張には真実性がなく、それはすでにU事件・H事件の判決で確定しているのである。

10, また真実性がない故に、誹謗ビラ事件で「盗聴疑惑」などと書いた学会幹部らに対しては、名誉毀損による損害賠償命令が下っている。

11, 誹謗ビラ事件の被告に、相当性が認められなかったのは、第一に、元幹部・Wへの取材を行なっていない。第二に、U事件・H事件の裁判が始まり、Wの法廷での供述・証言が変遷・破綻していったことは知り得たはずである。にも拘わらず、平成 13 年 9 月の時点で、妙観講の盗聴関与などという与汰話を平然とビラに書いて流布したのだから、相当性など認められるはずがない(仮に相当性がなくとも、盗聴関与という点に真実性があれば、もちろん免責となったはずだが、大前提として真実性がないことは、すでにU事件・H事件で確定しているのである)。

おわりに

以上のような次第だが、創価学会側の報道は、こうした裁判の全体観を会員に知らせることなく、無惨にも、W事件の上告棄却だけを都合よく報じて、あたかも妙観講が盗聴に関与したと最高裁が認定したかのごとく、無知な会員をミスリードしようとしている。  これによって、学会員が新たな名誉毀損事件を起こす可能性が出てきた、といえよう。
だが、すでに検証してきたことから明らかなごとく、U事件とH事件の審理を通じて元講員Wの証言・供述は破綻し、また、それ以外に妙観講と盗聴を結び付ける根拠はないのだから、「妙観講が盗聴に関与」などという話に真実性がないことは確定してしまっている。 今となっては、「それを真実であると信じて止むを得ない」という相当性も当てはまりようがない(相当性が認められたのは、あくまでも、U事件とH事件の判決が確定する以前に、Wに取材をして記事を書いたメディアについてのみなのである)。
一連の盗聴裁判が全て終わり、このことが明らかとなった以上、今後、妙観講の盗聴疑惑なる誹謗中傷を喧伝する輩は、かの誹謗ビラ事件の大幹部らのごとく、名誉毀損となることを覚悟すべきであろう。
また、妙観講としても、そうした名誉毀損行為については、見逃すことなく、厳しく法的責任を追及していく方針である。以上。

(妙観講・法務部) 2008年3月